「ああ、もう新島の季節かぁ」
竹田津はほぼ毎年、夏に新島に行くことを恒例行事にしている。羽伏浦でボディーボードをすることによって、自然のありがたさを感謝するとともに、パワーをもらっているのだ。今年もその時期がきた。
ちょうどタイムリーなことに、教育BBSでも次のような課題が出された。
投稿者/ 芝村
投稿日/ 2001/07/30(Mon) 21:00:50
URL/ |
楽しい自習課題
今回は正解もランク付けもなしです。
(上だ下だと競争したりするだけがゲーム製作でもないですし、それが教育という訳でもありません。)
今回は、夏休みをイメージした自習課題です。
前回と違って、競争とか目立とうとか、そういうことは考えなくても結構です。
課題:想像の世界の島に行き、7日間過ごして帰ってきなさい。
ルール
A.課題を解くものは、2名以上のパーティを組んで参加すること。
仲間はこの掲示板で見つけるか、何らかの方法で調達すること。
B.パーティで1日1回以上連絡をとりながら、下記を決定すること。
1.その島はどんな島で、どうやって課題挑戦者が知るに至ったのか
2.その島の名前 各種の地名 動植物名 場所 形
3.どうやってその島に行くのか
4.その島でそどう一週間すごすのか、そのスケジュールは
5.予想外のハプニングが起きた。それはなんで、どうやって解決するか
6.もっともその島で素敵だったことはなにか。
7.どうやってその島から帰ってくるのか。
C.なお、課題挑戦者は貴方らそのものである。安易に実は僕、魔法使いの
親戚が居て…など設定を作らぬこと。能力やアイテムは貴方のデータに
準拠する。くれぐれも遭難したりせずに無事に帰ってくるように。
D.最後にお土産話を報告として、面白おかしくだいたい1500文字以内に
まとめて提出すること。(短くても長くてもかまわんが、まあ一応)
提出期限は8/15とする。
この報告はパーティごとに書き、最後に本課題の意味を書きそえること。
なお、この報告はイラストやマンガで描いてリンクをおいてもかまわない。
以上 よい夏休みを。 |
「今回の課題はパーティプレイか」
竹田津はパーティメンバーを募集するため、次のようなメッセージを書き込んだ。
NO.1167 「新島 楽しい自習課題ツアー 2001 『これが南の島だ!』(仮称)」企画 |
投稿者/ taked2
投稿日/ 2001/07/31(Tue) 10:12:22
URL/ |
注意! 以下の内容は株式会社アルファシステムとは何の関係もありません。
(管理者へ 内容が不適切であれば削除してください)
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「新島 楽しい自習課題ツアー 2001 『これが南の島だ!』(仮称)」企画
とりあえず急に計画したものですけど、これは架空の企画案ではなくて実際に行きますので、お間違いなきよう。
(私1人でも行きます、というより元々行く予定だったので、相乗りしたければ歓迎します、ということです)
<目的>
伊豆七島の新島に行って「南の島」とは何か実体験し、「楽しい自習課題」突破に役立てる一助とする(威力偵察と考えても可)。
<期間>
2001.8.3~2001.8.12までのうちどこか3日間(個人的には2001.8.3~20001.8.5を予定していますが、場合によってはズラすか数回行きます)
ただし出発日は23:00出発ですから、2泊3日といっても実質1泊2日(+船中1泊)です。
<費用>
旅費、宿代、滞在費等の実費は全て自己負担です。
・船賃 12,800円(東海汽船 東京-新島 2等片道6,400円×2)。伊豆下田発なら往復で7,200円です(この場合、新島港集合になります)
・宿代 5,000円(1泊2食付) なおスポーツ広場で自分でテントを張れば、この費用は必要ありません
・その他、滞在費は各自自由
なお、これは全て実費です(ツアコンではありませんが、切符の買い方を教える程度のことや、サーフポイント、うまくて安い店といったちょっとした豆知識はあります)。
まあ2万円あれば切り詰めて行って帰ってこれます(+αあれば「新島謹製 青ムロのくさや 3年モノ」といったレアアイテムもゲットできます)
<お勧めしたい人>
・竹芝桟橋で現地集合、現地解散できる人(関東近圏でないと無理でしょう)。伊豆下田発の人は新島港集合になりますので、乗船手続等は自分で行ってください。
・サーフィン or ボディボードが趣味の人(というか私の目的の80%はこれです)
・夏休み、家でゴロゴロしていて、どーも「南の島」というのがいまいちイメージが湧かないインドア派
・くさやを食べたことがない人
<お勧めスポット>
・羽伏浦 - 関東圏最強クラスのサーフポイント。4kmの白砂のビーチだけでも一見の価値あり
・モヤイの群生地(?) - 渋谷南口にあるモヤイ像の生まれ故郷
・パルテノン温泉 - 古代ギリシャ風建物が付属した水着で入れる露天風呂
<注意点>
・このツアーに参加したからといって、「楽しい自習課題」のパーティへの参加義務はありません。
・現地では終日自由行動。自分のことは自分で責任を持つこと。基本的に未成年者は参加できません(まあ大学生の場合は可)
・船中、および民宿の部屋は基本的にザコ寝です。ですから団体行動を著しく乱す恐れのある方はお断りします(判断は私がします)。ただし、もし女性が参加される場合は民宿では男性とは別の部屋を用意します。
・レンタルのサーフボードやボディボードはありません。それが目的なら各自用意すること。なお1人分だけだったら私のスペアのボディボードがありますが、ちょっと大き目です(身長180cm前後ないと使いにくいです)。
<参加方法>
参加希望の方はここにレスポンスをつけるか、私まで直接メールしてください。
メールの方が確実かも。
竹田津 恩(taked2@aol.com)
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「さて、メンバーが集まるかな」
竹田津はあまり期待しないで、待っていた。
新島出発当日、やはり参加者は0。まだ参加者はその段階まで達していないとみるべきだろう。
新島は楽しかった。羽伏浦は相変わらず雄大だし、ボディボードも楽しい。そしてなんといっても民宿の息子さんとの再会がうれしかった。そして買ったばかりのデジカメで課題のネタになりそうな写真を取りまくった。
羽伏浦
パルテノン温泉
そしてできた作品が、「イ島奇譚」である(現在オンライン上に最終作品はなし)。
楽しい自習課題・課題の意味
今回は課題の意図ではなく、課題の意味ということなので、いくつか挙げさせてもらいます。
1.プロまたはプロを目指す卵としての視点で方法を考え、実行する
全ての課題にいえることですが、ここに集う以上は「プロまたはプロの卵」としての自覚や目的をしっかりもって課題にあたる必要があります。そのためにどういった方法が最も有効なのか、プロの視点で考え、実行する必要があります。
2.メンバーの選択基準
メンバーの選択にあたっては「相手の力量が分かっている」ことは作業の前提として当然のことです。また締切までの期間が短い場合、メンバー間のコミニュ ケーションを成立させるまでに時間がかかっていては、その後の作業時間が足りません。そのため今回は既に知り合いである人を中心にメンバー構成しました が、イラストにおいては面識のなかった方のサンプルを確認させていただき、お願いしました。メンバー集めの基準や方法を考えることも、大事な意味だと思い ます。
3.作業の進め方
集団で作業する場合、多人数で行える作業と、個人または少数でしか行えない作業があります。例えばシナリオは後者にあたります(映画やドラマでも脚本はほ とんどの場合1人です)。これは全体の整合性や統一性を高めるためには必須の条件で、特に今回は「土産話」が最終的な成果物ですから、ストーリーやシナリ オが決まらない限り前に進みません。それを誰がどうやって決めるのか、またその後の作業をどうやって分担するのかも課題の意味と考えます。
4.ストーリーと設定の関係
「ストーリー」が決まってくれば穴を補填する、悪い言い方をすれば辻褄合わせをしていくのが「設定」です。でも設定ばかりよくてもシナリオがお粗末だった り、その逆だったりする場合にはいい作品とはいえません。やはり両者のバランスが大事になってきます。そのバランス取りも課題の意味ではないでしょうか?
5.情報収集について
可能な限り情報を集めることが重要なのは、前回の課題で指摘されたことですが、情報を収集する場合、文献だけでなく、人とのコミュニケーション、そして可 能であれば実地調査といった、多面的な収集が必要になってきます。今回の課題ではたまたま個人的な旅行の時期と課題の内容が合っていたという幸運にも恵ま れましたが、そのチャンスを十分に生かすことも大切だと思います。
6.表現方法について
基本的な文章による表現だけでなく、絵、漫画、CG、写真、映像、音楽といった媒体のメリット、デメリットを知ることは企画や作品を表現するための基本的知識であり、その特性を理解することも重要だと考えます。
7.夏休みの自由研究と作成する動機
小学校の時、夏休みの自由研究はわくわくしたものです。なにしろ「自由」なのですから、思い切り時間をかけて観察したり、凝りまくった工作物を作ったり、 そこには楽しさがあったハズです。「なぜ、それを作るのか」、作成する動機はモノを作る人にとって最も根底にあるものだといえます。今回のように非常にフ リーな条件の場合、何を拠り所にするかがハッキリしないと、個人やグループのモチベーションを維持するのが難しくなります。「何にワクワクするのか?」そ れをどこに置くかも、課題の意味ではないでしょうか?
8.目立つ
今回の課題の最大の意味は「目立っておく」ことです。ただし、「誰に対して目立つのか」を考える必要があります。前回の課題の結果を見る限り、多くの解答 者が勘違いしているのは「出題者に対して目立つ」ことを意識し過ぎていることです。ハッキリ言えばそんなことは当然のことであり、重要なのは「自分と同じ 解答者に対して目立っておく」ことです。なぜならもし今後、今回の課題と同様な出題があった時、「コイツと組めばメリットがある」と思わせることは自分に 対してもメリットがあるからです(プロであれば「双方にメリットがあるから組む」のが常識です)。今回、手の内をオープンにしたのもそういう意図です(で もあまりやり過ぎると反感を買って逆効果になりますが)。
「自分の現在の力量をなるべく多くの人に見せておく」、今回の課題の最大の意味はここにあると思います。
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企画意図
これは「やる側の企画意図」の話で、課題の意味を考えることではないのでお間違えなきよう。
なぜ、この自習課題をやるのか?
この際「自習課題だから」なんていう答えは脇に置いておいておきます。「出されたからやる」なんてスタンスは何も面白くないし、それだったら夏は波の上でぷかぷかしてた方がずっとマシ。
今回のテーマに乗り気になったのは「新島のことが紹介できると思ったから」。もうここ何年も新島に通ってますが、いまだに飽きることもないし、多分これか らも毎年通い続けるでしょう(老後は向こうで暮らして、墓は新島に建てるつもりでいます。いや海に散骨でもいいかな。でも環境破壊を考えると....)。
「自分が大好きな場所を少しでも人に知ってもらいたい」、それが今回の課題をやる理由でしょうか。
新島の魅力とは
これは完全に個人的な好みでいうと、
「波」「風土」「人」
です。
特に羽伏浦は一日中ボーっと見つづけていても、まったく飽きることがありません。朝、昼、夕方、夜と表情を変えるし、変えない所もいい。陸からみるのもい いし、波の上から見るのもいい。特に朝一番で海に入ったとき、波の面がつるつるで一面銀色に輝くように見えるときは、ただ「感動」します。
だからもし江戸時代に生まれて新島に流刑になったとしても、私の場合は罰にならなかったかもしれませんね(ここ、すこし暴走気味)。
全体の方針
今回は「大好きな場所を少しでも人に知ってもらいたい」というのが目的なので、「想像の島に実際の島(新島)の要素を当てはめていく」方法を取りました。
中でも外せないのは「羽伏浦」。でもここだけではなかなか話が成り立ちません。えんえんサーファーと海と人情で持っていく話(ニ島サーフトリップ「カンス ボイをくぐって」)も考えましたが、サーフィンを知らない人にはちょっと退屈かも。そこで新島の特長的な場所をいくつか合わせ、そこにゲーム的な要素を少 し加味して、全体的な話を構成しました。
だからイ島からなかなか脱出できないのは「じつはズッとここにいたい」からかもしれません。でも課題なので、一応ちゃんと帰ってきますけど。
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着想
今回の「イ島奇譚(いじまきたん)」の基本的な着想を説明しておきます。それは
「RPGの世界に生身の人間が行ってしまったらどうなるか?」
ということです。RPGではその世界独特の「お約束」があり、例えば知らない村で知らない人に話し掛けてもRPGの世界では「(普通は)正直に本当のこと を言ってくれる」わけですが、現実にこんなことはありえません。また「岬の神殿」や「五行思想に則ったアイテム」「無機物との会話」といった舞台、ガ ジェット、状況が、まあ「普通に存在」しているわけですが、普通はそんなことはありません(実は新島を舞台にしたのは、「普通でないもの」がたくさんあっ たからです。もちろんそれと私が新島を好きな気持ちは何の関係もありません)。
「イ島奇譚(いじまきたん)」ではありがちなRPGの世界を構築しておいて、実際にそこで動くキャラクタはできる限りリアルにして、「現実の人間であればどう行動し、どう反応するか」を実験してみました。 |
はじまり 「ある喫茶店での会話」
「...いやあ、ちょっと日焼けしちゃいましてね。え、真っ黒過ぎる?...いえ、ゴルフなんてやりませんよ...そんな、こんな不景気にハワイなんて行けるわけないじゃないですか。
...あの、ここだけの話ですよ。この話を友達にしても誰も信じてくれなくて。ホント、ここだけの話ですからね...」
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1日目 「ここはどこだ?」
いえね、先々週の休みに友達と渋谷で待ち合わせしてたんです、南口のモヤイ前で。でもなかなか来ないんで、携帯かけたり、デジカメでパチパチやったり、ヒマ潰ししてたんですよ。
そしたら急に「ドーン」って音がして。そのまま気が遠くなっちゃいました...えっ、日射病じゃないかって?
気がついてまず目を疑いましたね。だってそこらじゅう一面、原っぱ、どう見ても渋谷の光景じゃないです。でも時計を見ると5分も経ってない。草むらに何か いるんで近づいてみたら、もうビックリ、「モヤイ」だったんですよ、いえ渋谷のじゃないヤツ。回りにも違うモヤイが、そうですねえ、30~40体はいたで しょうか、ぐるーっと回りを取り囲んでたんです....えっ、喋りませんよ、モヤイですもの。
一瞬、暑さで頭がおかしくなったかと思って、ほっぺたつまんだり、大声出したり、逆立ちしたり、いろいろやってみたんですが、どうも夢じゃない。携帯も通じないし。
その時、空から『ブーン』っていう音が聞こえてきましてね、見るとセスナが飛んでるんです。
「おーい!」って叫んだんですけど、向こうは全然気がつかない。こっちも必死で追いかけました。どこに出たと思います? それが崖の上。「眼下に広がる大海原」ですよ。セスナは水平線に見える隣の島に降りていったんです。
なんだかよくわからないけど、「こりゃあ、あの島に渡るしかないっ」てんで崖から浜に飛び降りたんですけど、これがもうすごい波、ビルの3階ぐらいの高さ はありましたね。でも、これでも高校の頃は水泳部でインターハイを目指した男...いえ、目指しただけなんですけどね、覚悟を決めて大波に飛び込ん だ!...は、いいんですけど、すぐに溺れそうになりました。やっぱり普段から運動してないと駄目ですね。波に巻かれて揉みくちゃになりながら、「そう だ、明日から煙草はやめよう」なんてくだらないこと考えてたんですけど、今度は本格的に気を失ったんです。
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2日目 「森で出会った少年」
耳元の「ザブーン」っていう音で目が醒めたんです。時計を見ると次の日の昼で、「生きてた」っていううれしさ半分、「やっぱり夢じゃなかった」という悲しさ半分、でした。
ノドがカラカラで、とりあえず水を探しました。近くの森に水が湧いてる石があったんで、もう夢中でかじりつきましたよ。人心地ついてよく考えると、石の所 まで道がある、これって「人間がいる」ってことでしょう。そこで誰かが来るのを待ったんですが、なかなか来ない。腹の虫もグーグー鳴るし、何か食べられる モノがないか探しました。花や蜘蛛まで食べてちゃったりしてね。次にクワガタを見つけたんです。
すると「あっ!」っていう声。声の方向を見ると男の子。逃げ出したんで、「おーい、待ってくれ」って。 木の陰に隠れながらも、こちらを向いてくれました。「おじさん困ってるんだ、助けてくれないか」。何も喋らないんで、こりゃてっきり言葉が通じないかと 思ったんですが、しばらくして「おじさん、誰?」、ホッとしました。
「迷っちゃったんだ。誰か大人の人がいる所に連れて行ってくれないかな」
「ダメ。『しらない人についていったり、つれてきちゃいけない』っていわれてる」
「でも、すごく困っているんだ、このままじゃお腹がへって死んじゃうかもしれない」
こっちも生きるか死ぬかの瀬戸際ですからね。「これで願い」って携帯についていたマスコットの人形をあげたんです。ズーッと考えてるようでしたけど、「じゃあ、勝手についてくるんならいい」 って言ってくれました。
もう空は夕焼けだったんです。しばらく歩いているうち、前に小さな村が見えてきて、「本当に助かった~」って涙が出そうになりました。
でも入口らしい所まで来ると、男の子が急に「ラー!」って叫びだしたんです。いきなりいくつかの家の戸が開いて、中からイカツイ男たち、そうですね、10 人ぐらいはいたでしょうか、手に棒を持って走ってくるんです。もう、否も応もなく袋叩きにされて、あげくにス巻きにされて牢屋みたいな所へ放り込まれてし まったんです。
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3日目 「イ島とニ島」
翌朝、おかゆみたいなご飯がでましてね。いやあ、本当に美味しかったです。
そのうちおばあさんがやってきて、あとで聞いたら村の長老らしいんですけど、「いしゃ、誰じゃ?」って。今までのいきさつを話したら、途中で「もうよい、わかった。出してやろう」。ビックリしたんですが、出られるってんでうれしくなりました。
しばらくは前の日会った少年の家で世話になることになりましてね。そうですね、時代劇にでてくる農家って感じの家でしょうか。電気なんてありません。入ると人のよさそうな男が座ってました。
「俺は三郎兵衛だ。ここにしばらくいてかまわない」
「ありがとうございます。ところで一体ここはどこなんですか?」
「サブーデーという村だ」
「いや、そうじゃなくてこの場所は...」
ここは南海の小島で、島には年中高い波が打ち寄せてる。この島はイ島(いじま)、モヤイ島っていうことらしんですけどね、そして隣の島はニ島(にじま)、正確には虹島。
「ニ島に行く方法はないんですか?」
「この島からは出られない。ニ島へは決して渡れない」
「でも見えてるじゃないですか。船かなんかで行く方法はないんですか?」
「駄目だ、ヨベームンが出る」
ヨベームンというのは海に出る魔物、そんな馬鹿なと思ったんですけどね。でも何か方法はないか、根ほり葉ほり聞いてみました。向こうも根負けしたのか、
「ラガ族の族長なら何か知っているかもしれない」
と言い出したんです。ラガ族というのはニ島に渡ろうとしている若い人達で、アブシ浦っていう島の東側の浜辺に住んでる。
そして最後に、
「俺も気がついたらここにいたんだ。もう30年になる」
って。なんと、あと2~3人は同じような目にあった人がいるそうなんです。でも、こっちはこんな所で一生過ごすつもりはありません。その日は休ませてもらって、次の日、そのラガ族とやらに会いに行くことにしたんです。
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4日目 「ラガ族」
翌朝、村をでてアブシ浦に向かいました。場所を聞くとどうやら最初の日に飛び込んだ所の北のほう。アブシ浦につくと、本当キレイな所でしてね。ずーっと向こうの方まで白い砂浜が続いてる。
見ると海辺の方で10人ぐらいの若い男が海に向かって走ってる。とみるや、いきなり海に飛び込んでぐんぐん泳いでいくんです、あの溺れかけた高い波の中をですよ。ああ、これがラガ族か、とね。
周りを見ると砦があって、近づくと入口に全身真っ黒に日焼けした男が立ってました。無駄のない筋肉っていうんですか、いい身体...いえ、そんな趣味ないですよ、ホント。
とにかく族長に会わせてもらって今までのいきさつを話したんです。
「ニ島に渡る方法はありませんか?」
「泳いで渡る以外にニ島へ行く方法はない。しかしそれを成し遂げた者はほとんどいない」
「そんな体力はありません。何とかなりませんか?」
「お前もラガ族となって毎日鍛えるがいい」
さっき見た若いラガ族でもなかなか渡れないんでしょ、到底無理だと思いましてね。粘っているとこんなことを言ったんです。
「『虎のモヤイ』を探せ」
「何ですか?それは」
「言い伝えだ。『力無き者、虎のモヤイの合力を請え』と」
「それはどこにあるんです?」
「知る者はない」
もうハッキリ言ってちんぷんかんぷんですけどね。まあモヤイのどれかだと思って、島中を探し回ったんです。まあ「虎のモヤイ」っていうぐらいですから虎の 形をしたヤツだろうと思いまして。でもモヤイの数ってハンパじゃないんですよ。100体までは数えたんですけど、もうその後は何体いたのか覚えていませ ん。でも虎の形をしたモヤイなんてどこにもいない。大体、そんなに簡単に見つかるものなら、もう誰かがとっくに見つけてますよね。
その日はあきらめて、三郎兵衛の家に戻ったんです。ラガ族の話をしたら三郎兵衛がいきなりこんなことを言い出したんです。
「虎? それなら神殿の入口に『虎』と書いてあった気がする」
「神殿? なんですか、それは」
「ああ、岬にある。そこには温泉が湧いている」
その日はもうへとへとだったんで、神殿には次の日行くことにしました。
|
5日目 「虎のモヤイ」
神殿は島の南側の岬にありました。なんかこうパルテノン神殿みたいな形でしてね、でもなんでこんなものがここにあるんだろうと。
神殿の入口の石板に、確かに「虎」って書いてあるんです。でも他に「龍」「雀」「武」。何じゃこりゃと思ったんですが、しばらく考えているうちピンときま した。いえね、昔付き合ってた女の子が風水好きで、陰陽だの五行だの、いやって言うほど聞かされてたんです。「虎」っていうのは方角でいうと西を表すそう なんです。ってことは西にいるモヤイに違いない、見ると確かにモヤイがいる。思わず「虎のモヤイはお前か!」って叫んだんです。
馬鹿ですよね、モヤイが答えるわけないじゃないですか。まあ調べてみようと近づいたんです。するといきなり携帯が鳴り出して、出るとこんな声が聞こえてきたんです。
「我を呼ぶのはお前か」
もうビックリですよ。まさかモヤイから電話がかかってくるなんて思わないじゃないですか。思わず「ちゃんと電話代払ってるんだろうな」なんて、またくだら ない事考えちゃいましてね。でも今まで十分ヘンな目に合ってますから、ヤケクソでモヤイとお話してみたんです。
そのモヤイが言うには、モヤイというのは実は見たり聞いたり考えたりする力がある、でもそれは人間には伝わらない、そして「お前がここにきたのは『転送』の力を持つモヤイのせいだろう」と。
これを聞いてキレちゃいましてね、「なんでそんな危ないヤツを渋谷のど真ん中に放っておくんだ、それならその『転送』とやらで今すぐ元の場所に戻してく れ」って怒鳴ったんです。でもそれはそのモヤイ特有の力らしくて、他のモヤイではどう仕様もないことらしい。
まあ、仕方ないんでニ島に行く方法を聞きました。すると「東にある森の中に白い山がある。その中に『赤い瀬ツカシ板』が眠っており、これに乗れば隣の島に 行ける」ってことでした。もっと聞きたいことがワンサとあったんですが、そこで携帯の電池が切れちゃいまして。ええ、もうウンともスンとも言わないんで す。
行きましたよ、森の中。確かにありました、白い山、っていうか白いピラミッドみたいなのが。ここまでくればもう何でもアリですわ、ハハハ。中に入ってみる と赤い大きな板があるんで、三郎兵衛の家まで持って帰りました。三郎兵衛もビックリしたんでしょうね、まさかそんなモノを持ってくると思わないから。でも 「頼む、俺と息子を一緒に連れて行ってくれ」っていうんで一宿一飯の恩義っていうんですか、快く引き受けました。
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6日目 「ニ島へ」
次の日、夜明けからアブシ浦に行って3人で瀬ツカシ板に乗ってみました。
いやあ、もう失敗の連続。瀬ツカシ板ってのは言ってみればサーフボードみたいなもんで、またがるしかないんです。三郎兵衛が作ったオールで漕ぐんですが、 3人の息がうまく合わないとまっすぐ進まない。それに海は見上げるほどの高波でしょう、浜辺に何度も打ちあげられましてね。でもみんな必死ですし、やっぱ り不思議な板のおかげなのか、だんだんとコツがつかめてきました。なんとか進むようになった時には、もうお天道様が真上にきてましたけどね。
「じゃあ」ってんでニ島に向かって漕ぎ出したんです。三郎兵衛はヨベーモンが出ないか、えらく怖がっていたんですけど、結局そんな化け物はどこにもいな い。「くそう、騙しやがって」ってかなり怒ってました。そうこうしているうち、ニ島と目と鼻の先まで来たんです。波も幾分穏やかになってきて「ああ、もう 少しだ~」って安心してたんです。
するとニ島の海岸から白い煙。何かこっちに飛んでくるんです、よく見るとミサイル!
最初何が起こったのかよく分かりませんでした。そのままボケーっと見ていると、近くでミサイルが大爆発! 3人ともそのまま吹っ飛ばされて、正直「死んだ~」と思いましたね。
しばらくして気がついてみると、なんと元のアブシ浦にいるんです。三郎兵衛や息子も近くにノビてました。よく助かったもんだと思うんですけど、浜に叩きつ けられた時に左の肋骨あたりを強く打ったみたいで...ホラここ、まだアザが残ってるでしょ。その時若いラガ族が寄ってきて「大丈夫ですか?」って。ま あ、3人とも生きてたのは奇跡みたいなもんです。
そのラガ族が指差す方向を見ると、なんと瀬ツカシ板が岩に突き刺さってる。抜こうと思って若いラガ族にも手伝ってもらったんですが、どうやっても抜けな い。これじゃあニ島に行けないってんで、もう一度白い山に行ったんですけど、今度はどうやっても入れない。目の前が真っ暗になりましたね。
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7日目 「最後の飛行機」
その夜はもう疲れちゃって早目に寝てたんです、三郎兵衛はなぜか長老の家に怒鳴り込んでたみたいでしたけど。こっちは一日中、波に巻かれたりミサイルに吹っ飛ばされたり散々な目に合ってたんでね、爆睡してたんですよ。
明け方近くだったんでしょうね、なんか地鳴りがするんです。慌てて飛び起きると、かなり大きな地震。半鐘は鳴るし子供は泣くし、もう上や下への大騒ぎって ヤツで。すると長老が「島乗りじゃ、島乗りが起こる」って騒ぎ出したんです。そこで半鐘台にのぼって沖の方を見てみたんです。いやあ、もうたいていの事に は驚かないつもりだったんですけどね。
なんと水平線に見えてたニ島が波を蹴立ててこっちに向かってくるんです、まるで船みたいに!
見る間にニ島が大きくなってきて最後には「ドシーン」ってイ島と陸続きになっちゃったんです。最初は何が起こったのか分からずにボーゼンとしてたんですけど、ハッと気が付いたんです、「これでニ島に行ける」。あわてて駆け出しました。
ニ島ってイ島と違ってかなり文化的な島なんです。道路は舗装されてるし、電柱や立派なビルもある。でも人影がまったくない。こっちはそれどころじゃないんで、標識で空港のある場所を探しました。
空港に駆け込むと、「ゴォーッ!」っていう音。滑走路を飛行機が離陸していくんです。そのあと空港のロビーには誰もいない。いや一人だけいました、いかにもサーファーって感じの男が。
「今のが最後の飛行機だよ」
どうやらニ島の住民は地震を予測して逃げ出しちゃったみたいなんです。それから空港の無線を叩いたり、町で電話を探したり、いろいろやってみたんですが全 然駄目。だって発電所が停まってるから電気を使うモノは全部オシャカ。これじゃ、何のためにニ島を目指したのか分かりゃしない。
仕方ないんでイ島に戻りました。アブシ浦はその時もキレイな白い砂浜で、沖の方をボーッと見ているうち、ふと思ったんです、「ここで一生過ごすのも悪くな いかもな」って。だって東京だとあくせく働くばかりで、こんなボーっとした時間なんて持てやしないでしょ。何だかんだあったんですが、結構この島が気に 入ってきちゃいましたしね。
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おわり 「ある喫茶店での会話」
「....えっ、どうやって帰ってきたか、ですって? やだなあ、ニ島とイ島がぶつかってひとつになっちゃたんですよ、つまり『ニイ島』にね。にいじま だったら、ホラ、竹芝まで船が出てるでしょう、帰りは二等で帰ってきました。ハイ、これおみやげの『焼きくさや 激辛』。今、新島で一番ホットなアイテムです。」
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「イ島奇譚(いじまきたん)」設定
「男」
基本的に私です。ですから魔法も使えなければ、精霊とお話もできません。腹が減ったら食べ物を探しますし、のどが渇いたら水を探します。1日6時間は寝な いと体が持ちません。昔、水泳部でしたからそれなりには泳げますが、今では遠泳をするほどの体力はありません。所持しているアイテムも、携帯電話や腕時 計、そして最近買ったデジカメ程度で、鉈やロープ、ナイフといったサバイバル用品は持っていません(最初は身に付けているものだけでサバイバルする話も考 えたのですが、3日目に餓死してしまいました、って何も食べなくても人間ってもうちょっと生きるハズですけど...)。
そして本当は「モヤイ」の言葉の由来である「力を合わせる」というのを前面に出したかったのですが、メンバーが足りないので、ほとんど単独行になってしまいました。
「ビルの3階ぐらいの高さの波」
もちろん男のでまかせです。でもまあ、2~3mはあったのでしょう。
いくら羽伏浦が関東最強クラスのサーフスポットだからといっても、ビルの3階(6~8m)なんて波はなかなか出ません。でもコンスタントに頭(2m弱)ぐらいの波は出ます。時にはダブル(3~4m) も入ってきます。
モデル 羽伏浦海岸の波
「水が湧いている石」
昔、仙人がここでお酒を作っていたという伝説があります。そのため「酒仙水」と呼ばれています。
実際の新島にも「酒仙水」があります。立て札に書いてあります。しかし実は地酒ではなくて密造酒を作っていたそうです。
モデル 酒仙水
「イ島とニ島」
イ島のモデルになっているのは新島の西側にある無人島「地内島」です(実際の地内島も結構爆笑エピソードがあるのですが)。でもサイズはもう少し大きいで すし、新島の要素をかなり入れています。ニ島のモデルは新島そのものですが、イ島に持っていかれた要素が抜けています。
2島の距離は実際とはもう少し離れている設定ですが、「目に見える距離」なので4~5Km程度です(一般に人間の目の高さから水平線までは4Km程度)。「低い山」に登ったのでもう少し遠くまで見えるハズですが、まあ5kmという所です。
「モヤイ」
「モアイ」ではありません、あくまで「モヤイ」(イースター島の方は「モアイ」)。基本的な設定としては珪素系知性体。新島特有の石(あと似たような石は イタリヤのシシリー島北にあるリバリ島から産出)であるコーガ石(抗火石)が長い間、自然の精気を浴びてモヤイとなります(ここのあたり孫悟空風)。
通常のモヤイは微少な移動能力があります(1年で1mm~30cm程度。個体差があります)。また稀に転送能力を持つモヤイもいますが、これは自分はまったく動けません。
「モヤイとの会話」
モヤイ同士は精神感応波(1.5GHz)により意思の疎通を行っています。到達距離は2Km四方ぐらい。
人間がモヤイとお話するには携帯電話が必要です。ですから肉声ではお話できません。「虎のモヤイ」と話す時も携帯電話で話します。しかしその後電池が切れ てしまったので、2度とモヤイとお話できなくなります。ということは渋谷のモヤイには飛び交う話を聞かれているわけですね。特に出会い系の(以下略)。
「モヤイの転送術」
モヤイの中に時折、転送能力を持つものが現れます。ただしその能力を発現するためには、そのモヤイ独自の儀式が必要です。渋谷の「黒い髪のモヤイ」の場 合、魔方陣と呪文、そして発光の儀式が必要で、男は回りをうろうろ歩いて(魔方陣)、携帯電話で話し(呪文)、デジカメでパチパチやったため(発光)、偶 然モヤイの転送術を発現してしまいました。そうじゃないと、今頃イ島は渋谷のコギャルで一杯になっているでしょう。
モヤイの転送術によって渋谷、イースター島、リバリ島、そして大分の臼杵(臼杵の石仏に似たモヤイがいる)とイ島はつながっています。そのため、ときどきそこから人が転送されてくることがあります。
「男の子」
三郎兵衛の息子。名前はヨーヘー。5才。森へクワガタ採りにきて男と出会います。なおイ島にはカブト虫はいません。
実際のモデルは民宿のお孫さん。「カメラ撮り合戦」(デジカメ vs オモチャのカメラ。シャッター間隔ではオモチャにかないません)に負けて、本当に携帯のマスコットの人形を巻き上げられてしまいました。ドラえもんと仮面 ライダーアギト好き。
モデル 民宿のお孫さん
「三郎兵衛」
もともと、大分の臼杵に住んでいた少年ですが、子供の頃、石仏にイタズラしていて、イ島に転送されてしまいました。以来、30年。長老に「ヨベーモンがで る」と騙されて、イ島から出て行こうとしません。しかも島の娘(長老の娘)との間に子供ができてしまったので、一生ここで暮らす覚悟をします。しかし男が ニ島に渡ろうとするので「渡りに船」とばかり、息子と一緒に脱出を試みます。
モデル 民宿の息子さん。住居は新島博物館前の昔の家屋
「長老」
元、銀座のモガ(モダンガール)。60年前にモヤイの転送術によってイ島に送り込まれてしまいました。犬好き。「ヨベーモン」は彼女の作り話です(シナリオ案の「ヨベーモンと出会う」はカット)
モデル 民宿のおばちゃん
「サブーデー」
イ島の中央部の森の中にある村。人口約100人。住民のほとんどは農業、林業、または漁業に従事しています。文化レベルは江戸時代後期と同じぐらい。電気、ガス、水道といったインフラは一切ありません。
名前のモデルとなったのは、いつも行く民宿の名前。ちなみにサブーデーとは屋号の「三郎兵衛」がなまったものです。新島の民宿には「マタデー」「ジンデー」といった名前が多く、これも「又兵衛」「伝次郎」といった先祖の名前からきています。
「ラガ族」
元々は島の人間達ですが、飛んでいく飛行機に憧れ何とかニ島に泳いで渡ろうと、身体を鍛えています。赤と黄色のキャップに男は海パン、女はワンピースの水 着、真っ黒に日焼けした身体。また時折やってくる命知らずな人間がアブシ浦で溺れそうになると助けてくれます。
イメージ的には島の若衆組なのですが、最近では女の子も入っています。族内での恋愛は禁止ですが、恋愛関係になった場合はラガ族から抜けるだけで特に罰は ありません(なにしろ島が小さいですから、そんなことで殺していてはワリが合いません)。ただしアブシ浦へ足を踏み入れることだけは2度と許されません。
モデル ライフガードの皆さん
「ラガ族の族長」
実はニ島から派遣された監視員。「泳いで渡る以外にニ島へ行く方法はない」なんて無茶苦茶なことを言って、なるべくニ島に人が渡らないようにしています。 ラガ族内の恋愛の罰則が緩いのも、アブシ浦から人を追い払うためです。なお男には嘘八百を教えたつもりなのですが、長い間のモヤイ達の精神感応によるマイ ンドコントロール(苦笑。安易な設定)とサンバーンによって、図らずも真実をしゃべってしまっています(本人は気がついていません)。
モデル ライフガードの監視員さん
「岬の神殿」
昔、イタリアのリバリ島から転送されてきた石工の職人(「ムラトーレ」と呼ばれていた)がヒマにまかせて造りました。コーガ石はのこぎりで切れるほど柔ら かいので、結局3年で完成。壊れかけている所はデザインなのですが、いまだ島民に「いつになったら完成するんだ」といわれてちょっと困っています。
ただし「龍虎雀武の石板」は元々そこにあったもので、どうやっても動かせないので、後から入口の建物を作りました。ですから古代ギリシャ風の建物の中に中国の五行思想のアイテムがあるのはそういうワケです。
温泉が湧いています。
モデル 湯の浜露天温泉
「龍虎雀武の石板」
虎のモヤイと親子関係にある「四神のモヤイ」の一部が地表に露出したもの。四神のモヤイというのは実は「イ島」そのものです。ですから島中のモヤイは四神 のモヤイと親子関係にあります。なお「龍虎雀武」とは中国の五行思想に出てくる、「四神」(または四獣)のことで、青龍(蒼龍)、白虎、朱雀、玄武、それ ぞれ方角としては東、西、南、北を、色は青、白、赤、黒を、季節は春、秋、夏、冬をあらわしています。つまり「虎のモヤイ」というのは「西のモヤイ」「白 いモヤイ」「秋のモヤイ」という意味です。なおニ島は「黄龍(蛇)のモヤイ」です。
これも新島の湯の浜露天温泉の入口の下足脱ぎの所に実際にあります。裸足で踏むと気持ちがいいです。最初全然気にとめてなかったんですが、ふと気が付くと かなり面白いアイテム。方角もきちんと合わせられています。作った人はかなり遊び心のある人なんでしょうね。でも古代ギリシャ風の建物にはちょっとミス マッチかも。今回作った人に敬意を表して、何とか設定をひねり出しました。
モデル 湯の浜露天温泉入口のオブジェ
「ピラミッド」
これはなぜここにあるのか、誰も知りません。モヤイでさえも。普段入口は「三角のモヤイ」によって封印されており(後から住み着いたわけです)、出入りす ることができません。男は前もって「虎のモヤイ」から連絡受けたことによって通されますが、「瀬ツカシ板」を持ち出したのでもう2度と入れてもらえませ ん。
モデル 新島博物館
「瀬ツカシ板」
昔、新島で「瀬ツカシ」という、今でいうボディボードのような子供の遊びがありました。あれだけ遊びにいい条件の場所です、子供がそれを使わないわけがありません。「瀬ツカシ板」はサーフィンのロングボードのこと。
モデル 新島博物館2Fのサーフボード
「ミサイル」
ニ島には政府の軍事兵器研究所があります。そのため基本的に飛行機以外の出入りは禁止されており、それに反する者は警告なしで攻撃されます。
実は新島にも自衛隊のミサイル試射場があり、今回の取材で行きたかったのですが「一般には公開してない」という理由で断られました。もし忍び込んでいれ ば、本当に帰ってこれなくなったかもしれません。なお民宿のおばちゃんは、観光客のいない冬の時期、自衛隊の寮の賄いをやっています。
モデル ミサイル試射場
「岩に刺さった瀬ツカシ板」
ミサイルに吹っ飛ばされても男が死ななかったのは瀬ツカシ板が持つ力場のせい。しかし岩に突き刺さったことで、大地震への最後の引き金を引いてしまいます。
元々、「虎のモヤイ」の目的もそこにありました。ニ島にいる300年前に別れた「豹のモヤイ」(中国では昔、虎の女房が豹だと思っていました)ともう一度会うためです。虎のモヤイには転送能力がありません。
実物は羽伏浦の海に向かって右手にひっそりと立っています( 1 / 2 / 3 )
モデル 羽伏浦にある日本サーフィン連盟設立20周年の記念碑
「島乗り」
かくて四神のモヤイ(イ島)と黄龍のモヤイ(ニ島)がひとつになり、太極に至る....わけではありません。人間がいろいろやったけど駄目だったのでどうしようかと考えて、最後は島の方からこっちに来てもらうことにしました。
元々、新島と式根島、そして地内島とあと2島は同じ島で、1703年(元禄16年)の大地震で分かれたもの。たった300年前の話、離れる事があるのなら くっつくこともあるだろう、ということでくっつけました。それにいつまでもイ島とニ島じゃかわいそうですし。
ただし去年の地震の後で気を悪くしないかと聞いたところ、「それより興味持つ人が増えて観光客がくる方がうれしい」とのことでした。
「最後の飛行機」
ニ島の地震火山観測装置が近々大規模な地震が来るのを予知したため、ニ島の住民は飛行機で避難してしまいました。島に人影がないのもそのせい。また元々島には船はありません(機密保持のため)。
取り残された人はサーフィン狂の人で「そんな地震がくるなら、大波もくるだろう。命にかえても大波に乗る」と考えた大馬鹿者。人間が津波に乗れるワケがありません。なお本来は、もうひとつの話「ニ島サーフトリップ『カンスボイをくぐって』」の主人公。
「焼きくさや 激辛」
かなりキョーレツなアイテム。三郎兵衛ご推奨。なお、これよりもっとレアなアイテムに「青ムロのくさや 3年モノ」があります。「私の家族、くさやって食べたことないの。一度お土産にちょうだい」などとのたまう、命知らずな娘っこ以外は近寄らない方がいいで しょう。マンションや閉め切った屋内で焼くのは厳禁。なお新島には日本で唯一、くさや研究所(正式名称「特産物開発普及センター」)があり、くさや博士が 金のスプーンで、くさやの漬け汁をテイスティングしています。
「ヨベームン、カンスボイ、マムン、瀬ツカシ」
この言葉は実際に新島にあった昔の言葉。特にヨベームンはいくつかの昔話にでてくる魔物です。これらはフレーバーとして使っていますが、あまりやると逆効果かも。
あと使いたかったけど使えなかったモノ
青いサーファー
新島空港の入口に青銅色のサーファーの銅像が建っています。( 1 / 2 )
イマジン君
モヤイの丘の塔のてっぺんに鎮座しています。夢工場85のマスコットキャラクター
鳥ヶ島
湯の浜露天温泉の近くにある島。存在感や景色がいい。
神社、寺院、墓地、史跡
新島は「流刑地」でもあったのですが、政治犯や思想犯が多く、島の文化や教育、衛生などに貢献した人も少なくありません(1 / 2 / 3)。またなかには歌舞伎の「夜話情浮名横櫛」の「いやさ、お富」のセリフで有名な蝙蝠安のモデルとなった流人の墓もあります |
構造
最終的な目的は「土産話をつくること」にある。そこで基本的な構造としては「真っ黒に日焼けした顔をみて『夏休みを取って遊んできたのか。こっちはそれど ころじゃないのに』というお客さん相手に、(本当はずばりその通りなのだが)『いやあ、それが大変なことがあったんですよ。じつは....』という、いわ ば「言い訳話」が基本線となってくる。で、えんえんホラ話が続いていくわけだが、ホラ話はいきおい「話が大げさになっていく」傾向がある。またホラ話の宝 庫としては「落語」があるので、オチは落語的にいってみたい。
ストーリーと設定
今回の課題は「土産話をつくる」ことが目的なので「ストーリー」が中心となってくる。そこで、まずストーリーを固めることになる。もちろん想像の島の文物をあれこれ想像するのも楽しいのだけど、期限を考えてストーリーに関係ないものは基本的にカット。
ストーリーの立て方
ストーリーの立て方の基本は「起承転結」にある。ただし今回の場合、実際にあるモノを「起」に当てはめるか、「結」にするかによって、展開の仕方が変わっ てくる。「結」においた例としては「岩に突き刺さった瀬ツカシ板」。これはじつは羽伏浦にあるサーフィンのワールドカップおよび日本サーフィン連盟設立 20周年の記念碑なのだが、以前から何かのネタに使いたいと思っていた。
メンバー集め
今回の課題の中には「メンバー集め」もかなり大きな意味を持っている。ただし学校のクラブ活動じゃないんで、基本的には「相手の力量が分かっている人」が対象となってくる。
本当は女の子がいた方がアイディア出しの段階では視点が変わっていいのだが「あっ、その日免許の卒検があるから無理」ということでボツ。
分担
ストーリー決定までは基本的には個人または少人数でやった方が効率がいい。また今回は企画の目的から、最初は「新島を知っている人」が最低限の条件となってくる。そこでいつも行っている民宿の皆さんを何とか丸め込む。
もちろんストーリーが固まった後のブラッシュアップや各作業においては、それぞれその技能がある人がいてくれればヒジョーに助かる。
表現方法
まあ、文章は基本として「イラスト、漫画が可」というのが少々ネック。というのもうちの周りにそれをロハでやってくれる人がいない(苦笑。まあ飯代ぐらい でやってくれるのならいいのだが)。そこで苦肉の策で「映像もOK」ということなので、これを主体に構成する。
で、写真や動画といった媒体のメリットは何かと考えると「事実、そんなモノがそこにある」というインパクトにある。例えば「岬の神殿」「龍虎雀武の石板」 といったゲームだといかにもありがちなモノが、「だって実際、本当にここにあるんだもの」というのは写真で撮ってはじめて意味があるもので、絵であればあ まり意味が無い。
注意点
写真を使うということ、つまり実際そこにあるものを他に流用する際には、その許可が必要になる。またストーリー展開上、「島が動く」ことになってしまうが、去年、地震に見舞われた新島でそれが許されるかどうかも確認が必要になる。
取材
生きた情報を集めるためには、可能であれば現地に行った方がいい。文献だけだと、どうしても頭でっかちになりがちだし、雰囲気といったものは本だけでは感じ取りにくい。また話の中に実際に起こったエピソードを織り込んでいくこともできる。
前宣伝
最終的な成果物をあげる前に、許されるのであれば前宣伝をやっておいた方がいい。今回は「実際の島の土産話」を前菜がわりにあげておいた。
最終的な成果物
1.土産話(1500字前後)
2.想像の島の観光案内(Web上で表現。クリッカブルマップを使うと効果的)
そして、今回の企画目的からは「3.実際の島(新島)の観光案内」もあると効果的(実際、どう流用したか分かるとその落差を楽しめる)だが、期間内に終わらなければボツ。 |
「イ島奇譚(いじまきたん)」ストーリー案
「渋谷のモヤイ前にいたハズなのに、気が付いたら知らない場所でモヤイ達に囲まれて立っていた...」
これが導入部。つまり都会で普通に暮らしていた男が、いつのまにか知らない島に放り込まれてしまって、そこからどう脱出するかがストーリーの縦糸になる。
あらすじ
夏。真っ黒に日焼けした顔をみて「夏休みを取って遊んできたのか。こっちはそれどころじゃないのに」。(本当はずばりその通りなのだが)「いやあ、それが大変なことがあったんですよ。じつは....」
『渋谷のモヤイ前で友人を待っていた男。しかし気が付くと見知らぬ場所に立っていた。そこはモヤイの島(イ島)。男は途方にくれる。そのとき上空を飛び去 るセスナ機。無情にも飛び去ってしまうが、隣に見える島(ニ島)に着陸。男は隣の島に行くことを決意する。
島の者に会って袋叩きにあったり、同じように島にきてしまった男に助けられながら、男の奮闘は続く。そして、この島に来た原因を知るモヤイと出会い、ニ島 に行く方法を教えられるが、あと少しの所まできて失敗してしまう。その夜、大地震が起こり、なんとイ島とニ島が陸続きに。しかしタッチの差で最後の飛行機 が飛び立ってしまう』
「...っていう話なんですよ、いったいどうやって帰ってきたと思います?」
ストーリー展開
1日目 「ここはどこだ?」
1.渋谷のモヤイ前にいたハズが、気が付くと知らない丘の上に立っていた。周りはモヤイだらけ。
2.じたばたしてみる。途方にくれる。隠れてみたりする(恐怖?)。夢じゃないかといろいろやってみる。なんでこんな事にと考えてみる。とりあえず持っている物を確認する。
3.あちこち調べてみる。低い山があるので登ってみる。ここが島であることを知る。
4.上空を飛行機(セスナ程度)が飛んでいる。「おーい」と叫んでみる。飛行機行ってしまう。しかし飛行機、隣の島に着陸した様子。その後、何度も隣の島から飛行機が飛び立つのを見る。
5.隣の島に行こうと走り出す。海岸までくるがものすごい高波。
6.意を決して飛び込んでみるが、無謀である。溺れそうになり、そのまま岸に打ち上げられ、眠り込んでしまう。
2日目 「捕まる」
1.目が醒める。喉が渇き、腹が減ってくる。うろうろする。
2.湧水の池を見つける。貪るように喉をうるおす。
3.湧水の池に橋があることに気がつく。人がいる? 待ってみる。
4.腹が減る。あまりに腹が減ってくる。食べれる物が無いか周りを探す。花や虫を食ってみる。
5.クワガタ採りに来ていた少年(ヨーヘー)と出会う。日本語が通じる。家に連れて行ってくれと頼む。駄目だといわれる。
6.携帯電話についていたマスコットをあげる。家に連れて行ってもらう。
7.森の中の村に近づく。と少年、奇妙な叫び声を出す。村の男達が出てくる。取り囲まれ縛られる。牢屋に入れられる。
3日目 「イ島とニ島」
1.村の長老に尋問される。いままでのいきさつを話す。「ああ、またか」といった顔。
2.釈放される。とりあえず少年の家に世話になる。
3.少年の父(三郎兵衛)現れる。ここが「イ島」(いじま。モヤイ島)、隣の島は「ニ島」(にじま。虹島)であることを知る。しかし「この島からは出られない。ニ島へは決して渡れない」「俺も気がついたらこの島にいたんだ」
4.イ島の周りの海流は激しく、カンスボイ(頭を越える高い波)がいつも立つ。しかも船を出すとヨベームン(呼ぶ者)というマムン(魔物)が現れるという。
5.どうしてもニ島に渡りたい。「ラガ族の族長であれば何か知っているかもしれない」
6.ラガ族?「ああ、アブシ浦にいる。やつらはニ島に渡ろうとしてるんだ」
4日目 「ラガ族」
1.村を出る。アブシ浦のラガ族に会いに行く。
2.ラガ族の族長に会う。「泳いで渡る以外にニ島へ行く方法はない、しかしそれを成し遂げた者はほとんどいない」
3.そんな体力はない。「そうであれば虎のモヤイを探せ」。虎のモヤイとは? 「それは言い伝えであり、どんなモヤイなのか知る者はない」
4.虎の形をしたモヤイ? 島中のモヤイを片っ端から当たってみる。無駄骨。あきらめる。
5.三郎兵衛の家に戻る。「虎? そういえば神殿の入り口に『虎』と書いてあった気がする」
6.神殿?「ああ、岬にある。そこは温泉が湧いていて島の者が入りにいくんだ」
5日目 「虎のモヤイ」
1.神殿へ行く。入り口の丸い石板に「龍虎雀武」の文字。
2.石板の上で虎(西)の方角にいるモヤイに話かける。携帯電話が鳴る。「我を呼ぶのはおまえか」
3.ここに来た原因を知る(モヤイの転送術)。じゃあそれで元に戻してくれ。「それはその黒い髪のモヤイでなければできぬ」
4.ニ島に渡る方法はないのか。「『瀬ツカシ板』を使うとよい」。それはどこにある。「そこの白いピラミッドの中にある」
5.携帯電話の電池切れる。
6.白いピラミッドに入る。中で「赤い瀬ツカシ板」を見つける。
6日目 「ニ島へ」
1.ラガ族のいるアブシ浦へ行く。
2.瀬ツカシ板に乗ってみる。失敗。何度も失敗する。半日かけてなんとか乗れるようになる。
3.三郎兵衛、ヨーヘーと一緒に、ニ島に向かう。
4.あと少しの所までくる。岸から白い煙が上がる。ミサイル?!(なんで?) 「どっかーん!」
5.吹き飛ばされてアブシ浦まで戻る。ラガ族の若者「大丈夫ですか?」。瀬ツカシ板、岩に突き刺さり、使用不能となる。
6.もう一度、虎のモヤイ、ピラミッドに行くが、無駄。
7日目 「最後の飛行機」
1.夜半に大きな地震がくる。村の長老、「もしや、これは...」
2.アブシ浦へ行く。ラガ族の族長が叫ぶ、「島乗りだ!」
3.沖を見てみると、なんとニ島が波に乗ってこちらに向かってくる!
4.イ島とニ島、陸続きになる。
5.あわててニ島に乗り込む。かなり文化的な島。しかし人影がない。
6.空港を見つける。1機の飛行機が離陸していく。空港に取り残された人「今のが最後の飛行機だよ」
7.万策つきる。ボーっとしてアブシ浦から海を見る。「ここで一生過ごすのも悪くないかもな」
8.そして...
いちおう「ちゃんと帰ってくる」エンディングになってますが、最後はとりあえず「秘密」ということで。
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そして「楽しい自習課題」の回答として、以下のメッセージを書き込んだ
楽しい自習課題 ・解答
1.その島はどんな島で、どうやって課題挑戦者が知るに至ったのか
そこはモヤイの住む島。最初はその存在さえ知りませんでした。
2.その島の名前 各種の地名 動植物名 場所 形
イ島とニ島。詳しくは「イ島&ニ島 地図」で。
3.どうやってその島に行くのか
渋谷のモヤイの周りをぐるぐる歩き、携帯電話で相手に「遅い、はやくこい!」といって、デジカメで辺りをパチパチ撮ります。
そうこうしているうち、モヤイが『転送』する気になったら、瞬時に行けます。断る余裕はありません。
4.その島でそどう一週間すごすのか、そのスケジュールは
とにかくこの島から脱出するため、できる限り右往左往、じたばたして、少しでも可能性があれば突き進んでみます。
詳しくは「土産話(には長すぎる話)」で。
5.予想外のハプニングが起きた。それはなんで、どうやって解決するか
ハプニングの数が多いので列挙します。
1.渋谷にいたハズがいつの間にか知らない島にいた
ほっぺたつねって、大声出して、それから逆立ちして、これが夢や自分が狂っているんじゃないことを確認します。
空を見上げるとセスナが飛んでいて、それが隣の島に着陸していったのを見て、隣の島に行って飛行機で脱出しようと決意します。
2.ビルの3階ぐらいの高さの波に巻かれて溺れそうになった
「明日から煙草をやめよう」と決心してじたばたせずに波に巻かれるまま身を任せます。自分の力量も知らないで無茶をすると海はまったく容赦してくれません。
3.コンビニもなさそうな知らない森の中で、腹の虫がグーグー鳴り出した
花や草、虫など、食べられそうなモノを取り合えず口の中で20分間とどめておいて、気持ちが悪くなってこなかったら、自分のカンに従って飲み込むか吐き出すかします。気持ちが悪くなったらその場で吐き出し、近くにある水ですぐに口をゆすぎます。
もし生還できたら、今後こういう状況になることを想定して「食べられる野草」「食べられる昆虫」といった本や情報を頭に叩き込んでおきます。
4.親切な子供についていったら、村人に袋叩きにされた
子供とはいえ、携帯電話のマスコットの人形なんてケチらずに、今度からはちゃんと現ナマで買収しようと心に誓います。
5.隣の島に行きたいのに「泳いで行け」と言われた
泣き脅して、もっとラクな方法がないか聞いてみます。すると、もっとちんぷんかんぷんなことを言うので「コイツにはもう近づくまい」と決心します。
6.岬にパルテノン神殿みたいなのが建っていて、入口に五行思想の石板が置いてあり、モヤイに携帯電話で話し掛けられ、ついでに森の中に白いピラミッドがあって、とどめにその中にボロッちいサーフボードが立てかけてあった。
最後に「ハハハ」と笑ってみます。
7.必死にオールを漕いで島に近づいたのに、警告なしにミサイルで撃たれた
なんでミサイルみたいな、高くて、(生身の人間に対しては)不確実な兵器を使うのか、相手の神経を疑ってみます。ただし解決策は「運を天に任せる」。
8.苦労して手に入れた不思議な板が、岩に突き刺さって取れなくなった
モノというものは、自分の手の上にあるときはたいしたものだとは思わなかったのに、自分の手から転がり落ちるか飛び去ると急にもったいなくなるものだなと思って、焦ってオロオロします。
9.水平線上に見える島がこちらに向かって驀進してきた
ボーゼンとするしかありません。
10.助かると思って飛行場に行ったら、タッチの差で最後の飛行機が離陸していってしまった
全てを諦めてキレイな白い砂浜で、沖を見つめながらボーっとして、しばらくは自己逃避モードになってみます。
でもそれが終わったら、また元気を取り戻して、脱出する方法がないか、じたばたしてみるでしょう。
番外
11.お客さんが忙しくて夏休みも取れないのに、こっちは夏休みに島に行って遊んで来て真っ黒になってしまい、喫茶店でバッタリ出会ってしまった。
なんで黒くなったか、考え付く限りのホラ話をでっち上げ、もう思いつくまま気の向くまま、口八丁の手八丁、たまたま怪我なんかしちゃたりしてちゃったらそのアザの痕まで見せつけて、とにかく全身全霊、誠心誠意、誤魔化します。
でもお客さんが忙しいのが自分のせいじゃないのなら、正直に話してすまなそうな顔をします。
12.お客さんが、あまりのホラ話に「取引中止だ!」と怒り出した。
土下座しろといわれれば土下座をし、靴をなめろと言われたら靴をなめます。それぐらいのことで傷つくほどヤワじゃありません。でもそんな分かりやすいお客さんだけじゃないのが悩みの種です。
6.もっともその島で素敵だったことはなにか。
一日中、見続けても飽きることのないアブシ浦を見て、やっぱり老後はここに住もうと心に誓います。
7.どうやってその島から帰ってくるのか。
港で東海汽船のキップ(2等片道6,400円也)を買って、キャンセル待ちに外れたら、デッキの椅子か、食堂のテーブルに陣取って、誰か6時間話し相手になれる人がいないか探しながら、自習課題の解答を考えながら帰ります。
C.なお、課題挑戦者は貴方らそのものである。安易に実は僕、魔法使いの
親戚が居て…など設定を作らぬこと。能力やアイテムは貴方のデータに
準拠する。くれぐれも遭難したりせずに無事に帰ってくるように。
はい、前乗りしてきた高校生サーハーと3年ぶりにぶつかっても、新島病院に担ぎ込まれることなく、無事帰ってきました。まだ寝返りをうつと左側の肋骨が痛みます。でも、また来週、今度は100%波乗りに新島に行ってきます。
皆さんも残り少ない夏休みと夏を有意義にお過ごしください。
D.最後にお土産話を報告として、面白おかしくだいたい1500文字以内に
まとめて提出すること。(短くても長くてもかまわんが、まあ一応)
提出期限は8/15とする。
この報告はパーティごとに書き、最後に本課題の意味を書きそえること。
なお、この報告はイラストやマンガで描いてリンクをおいてもかまわない。
詳しくは「土産話『岬の神殿の秘密』」で。
以上。
|
投稿者/ taked2
投稿日/ 2001/08/23(Thu) 13:41:24
URL/ |
5.予想外のハプニングが起きた。それはなんで、どうやって解決するか
13.繁華街のド真中で、ワケのわからないヤツに誘拐、知らない島に拉致され、その親戚筋から「災難だったねえ」とヒトゴトのように言われた。
腹ワタがブッチ切れるぐらいの事があっても、普段なら一晩ゆっくり寝て、時には一週間、じっくり考えますが(その前に牛乳を飲んでおくと、より効果的)、 緊急を要する場合、その時点で把握できる全ての状況を判断し、必要があると判断すれば、躊躇なくスイッチを「切」に入れて、本気モードに突入します。あと は出たとこ勝負、です。
これは目先の損得の問題ではありません。SpiritとSoul、そしてGutsの問題です。 |
岬の神殿の秘密
いやあ、あの岬の神殿、実はまだできてから5年も経ってないんです。元々あそこって温泉が湧いてましてね、まあ共同の露天風呂みたいなもんだったんです が、風の強い日は潮のしぶきがまともにかかるし、なかには「雨の中でも風呂に入りたい」なんて贅沢をいいだすヤツもいましてね。じゃあ、ってんで風呂の上 に屋根つけることになったんです。でも最初、木の屋根つけてみたら湯気とお日さんと潮風ですぐに駄目になっちゃいましてね。やっぱりここは石でガッチリし たやつ作ろう、ってことになって相談してたら、ムラトーレって男が「ぜひ、俺にやらせてくれ」って言い出したんです。
この男、かなり前にリパリ島ってとこからこのイ島に来てたんですけどね、元々、向こうで石工をやってたらしくて昔を思い出しちゃったんでしょうね。それに ここのコーガ石って見た目より軽いし、のこぎりでも切れちゃうでしょ。だから、いっちょドーンとしたヤツを作ってやるか、って頑張っちゃった。まあみんな も、そこまでやる気なら任せてみるかと思って、やらせてみたんですけどね、仕事が進むうちに、なんかみんなが想像していた屋根とはどんどん形が違ってき ちゃった。みんなは単に三角の屋根ができるだろうと思ってたんだけど、あれれって見てるうちに、なんかどっかの神殿の屋根みたいになってきちゃった。
ムラトーレに詳しく話を聞くと石工は石工でも、神殿とかそういうヤツ専門だったみたいでね。ほら、日本でもいるでしょ、宮大工ってやつ、ちょうどそれの向こう版だったらしいんですわ。
まあ途中で止めろともいえませんからね、それに島の娘達は「わー、ロマンチック~」なんて喜んでましたしね。あれよあれよっていう間に立派な神殿風の『風 呂の屋根』が出来ちゃった。でもムラトーレ、職人魂に火がついちゃったちゅうか調子に乗ったちゅんですかね、屋根だけじゃなくて、手すりや階段、入口の所 の着替所までそれ風に作り始めちゃいましてね、もうこうなってくると周りもどこまで出来るもんか、面白くなってきちゃいまして。ええ、だってこんな何の娯 楽もないような島でしょ、がんばれ、がんばれって言ってるうちに、大体3年かけてあんな岬の神殿ができちゃったんです。
でもね、実はムラトーレ、今回のテーマは「忘れられた神殿」だったそうで、わざと壁の一部を壊れかけにしてみたり、天井の一部を作らなかったり、いろいろ工夫したそうなんです。彼が言うには「あれはデザインなんだ、あれで完成なんだ」って。
でも元々、露天風呂の屋根でしょ、おじいちゃん達が入る時に「なんでここ、屋根がないんかのう、いつになったら完成するんかのう」っていわれてムラトーレ、ちょっと困っているそうなんです。
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「まあ、自習課題としてはこれぐらいやっておけばOKだろ」
しかし、これを提出した事によってあるひとつの事件が持ち上がる。
(*注意* 登場する人物、団体等は、全て架空のものです)