入学が本格的に決まってから、ついに立て続けに問題が出始めた。基礎が2問に企画が1問。スケジュールから逆算すると、企画希望者はこれを平均3日で1問解いていかなければならない計算になる。

「まずは数学からだよな」

 数学は、物事の定義がはっきりとしており、論理的に構築されている世界なので、白黒がはっきりしやすい。そこで竹田津はまず問題を見てみる事にした。


ゲームメカニズム数学 課題 (単位1) (10月18日)

ゲームメカニズム数学 課題 (単位1)
<数字、桁、ポジションの概念>


ケーススタディ
(1)
現在の日本人の99%がローマ数字とアラビア数字と漢数字の概念上の違いが分かりません。 要するに、文字の形以外でローマ数字とアラビア数字と漢数字のどこが違うか、説明できないのです。

(2)
日本人は型番、D99を。「ディきゅうじゅうきゅう」と呼び、アメリカはこれを「ディーナインナイン」と呼びます。


(3)
インド人は数学が得意です。


(4)
小学生の時、10人に1人の割合で2桁を1桁で割る計算はできるのに、2桁を2桁で割る計算ができない子がいます。(後で矯正させられますが)


(5)
数字・桁・ポジションの概念が弱い人間は優れたゲームシステムを確率的に絶対に組み上げられません。


師範説明
ケーススタディが、目茶苦茶なことになっているが、これは数字、桁、ポジションが広大な範囲で人類に影響を与えているためである。 これらを無視して人間は生きられない。

他人を感動させたり、興奮させたりする数学をゲームメカニズム数学といい、ゲームメカニズム数学はその基礎を数字、桁、ポジションに求める。

芝村系ゲームデザインが他のゲームデザイナーより複雑で、戦略性を高くしつつ、かつ破綻を決定的なまでに大きく減らせているのは、この基礎の違いが大きい。

ありていに言えば現在日本の業界で働いている専従の企画者、ゲームデザイナーで数字、桁、ポジションの概念を分かっているものはほとんどおらず、故にシステム的に弱く、シナリオ重視でしか勝負できないでいる。

現在、純ゲームシステム上の観点から言えば、日本はアメリカのゲームデザイナーに大きく水をあけられ、今後これは5年以内に国内の業界構造の転換を計るま でに拡大する可能性がある。この理由は日本の企画者、経営者が数字と桁とポジションが分かってないためだといえば、多少はこの課題の重要性も分かるかと思 う。
これを阻止するために、この種の技術者の育成をおこないたい。


数学は格闘技である。そして格闘技は実戦に近いほうが最良の訓練たりえる。
ためにゲームメカニズム数学では演習を最大限重視する。

設問
Q1 ローマ数字と漢数字とアラビア数字の違いを示せ。
(ヒント):2001をローマ数字と漢数字とアラビア数字でかけ。
Q2 一桁における0の概念を説明せよ。
Q3 二桁以上における0の概念を説明せよ。
Q4 桁とはなにか? 説明せよ。
Q5 なぜ2桁を1桁で割る計算はできるのに、2桁を2桁で割る計算ができない子が存在するのか。 この項で使われた言葉を使って説明せよ。
Q6 桁の概念を理解していないと、なぜゲームシステム的に弱くなるのか。
(ヒント):極論を想像せよ。
Q7 全ての数値はポジションをもつ。ポジションとはなにか?
(ヒント):ポジションとは位置である。
Q8 どのようなポジションをもつことができればゲームシステム的に強くなるのか。
(ヒント):弱いポジションとは何か。
Q9 ポジションと桁の関係を示せ。
Q10 所感を述べよ


「なんだこれ?」

 竹田津はつぶやいた。

 

(*注意* 登場する人物、団体等は、全て架空のものです)